便秘: 正常な乳幼児や小児の治療へのアプローチ: メルクマニュアル18版 日本語版
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親はしばしば小児の腸の動きや排便回数に気を取られるが,大抵の便秘は重篤な結果をもたらすことはなく,心配になるのは,排便に痛みを生じるようになり,更なる便の停滞につながるか,その他の症状の原因となる場合に限られる。
ミルク代のにきび
乳児の場合,排便回数は多様であり,便秘の定義は難しい。通常は1日4回便通のある乳児でも,あるときには便通が2日に1回となることもある。乳児の多くは,硬く大きな便をほとんど不快感なく排泄するが,軟らかい便の排泄時に泣く乳児もいる。一般に,排便のための努力(例,いきみ)は便秘を意味しない;乳児の腸の動きを助ける筋肉は時間をかけて発達していくのである。新生児で生後24時間以内に胎便の排泄ができない場合,ヒルシュスプルング病が示唆される(先天性消化管異常: ヒルシュスプルング病を参照 )。乳児において,数日間にわたる排便不能に,腹囲の増大および疼痛の徴候など,その他の症状や徴候が伴う場合は,まれな障害(例,ヒルシュスプルング病や腫瘍による閉塞)を疑うべきである。
より年長の小児では,便秘は不快感を生じる硬い便の排泄と定義され,最も多くみられる原因は食物繊維の摂取不足である。排便時の不快感がさらに便の停滞を招くため,便秘の状態は自ずと増幅される。
めまい妊娠後期
どの年齢においても,硬い便の排泄により肛門裂傷が生じうる。肛門裂傷により排便時に重度の痛みが生じ,ときに少量の鮮血がみられる。外部の裂傷は肛門の視診により診断する;内部の裂傷に関しては,便秘の治療により症状が回復するため,評価の必要はない。大抵の裂傷は治療せずともすぐに治癒するが,液体摂取量を増やしたり,便軟化剤を使用したりすると治癒を容易にすることがある。
評価
病歴: 病歴は,排便回数および便の硬さ,排便時の不快感の有無,出血の有無,そして液体や食物繊維に注目した食事の構成内容をみることに焦点を当てる。出生時にさかのぼる便秘症状の報告がある場合や,従来の治療法に対して治療抵抗性がある場合は,ヒルシュスプルング病などの解剖学的欠陥が示唆される。排便時の痛みが報告される場合は,肛門裂傷が示唆される。あまり液体を摂取しないとの報告があれば,食事要因が示唆される。
胎児を押す原因背中の痛み
身体診察: 診察は腹部および肛門が中心となる。膨隆腹または腹部腫瘤は,便の停滞,閉塞,まれに腫瘍を伴う重大な問題が示唆される。肛門の皮膚にひびや亀裂があれば,肛門裂傷の診断が確定する。指診で指先に硬い便が触れる場合,ヒルシュスプルング病の問題はない。
検査: 病歴および診察の結果,閉塞(ヒルシュスプルング病の場合など)または腫瘍が示唆されれば,検査が指示される。検査には,腹腔内腫瘤を明らかにするX線,CTスキャン,またはMRIや,ヒルシュスプルング病に関する直腸の検圧法や生検が挙げられる。
治療
大抵の場合,食事での液体や食物繊維の摂取量を(全粒穀物,果物,補給剤により)増やすことで十分である;一時的にミルク摂取量を減らすと有用なこともある。用便のしつけをされた幼児の場合,しばしば注意散漫になり,停滞した便が排泄されるまでじっと便座には座っていないものである。より長くより頻回に(例,少なくとも1日に2回,食後の10分間)便座に座るよう親が指導することにより,完全に排便するだけの時間が得られるような生活習慣が確立される。優しく浣腸する以外に,便軟化剤および緩下剤(例,6歳未満の小児にセンナ5〜10mLを1日1回,6歳以上に1日2回;2歳未満に水酸化マグネシウム0.5mL/kgを1日1回,2〜5歳未満に5mL を1日3回または15mLを1日1回,5〜12歳に5〜10mLを1日3回または15〜30mLを1日1回)も安全に使用でき,治療を促すことが可能であるが,正常な排便が永続するようになるまでには,数カ月を要する場合がある。一治療計画としては,緩下剤または便軟化剤を2〜3週間投与し,最初の便通後1カ月間は隔日投与した後,再発した場合1〜2週間毎日投与する。
最終改訂月 2005年11月
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